結核性胸膜炎の臨床症状
●1/3の症例が1週間以内,1/3の症例が1か月以上の発熱や咳嗽,胸痛で発症する.
●結核の既往がなくツベルクリン反応が陰性であっても結核性胸膜炎は否定できない.
●1/3が1週間以内の経過で,2/3は1か月以内の経過である〔Arch Intern Med. 1968 Oct; 122(4): 329-32〕.
●ツベルクリン反応
▶発症6-8週間後にはほとんどの症例でツベルクリン反応は陽性となるとされるが〔Chest. 2007 Mar; 131(3): 880-9〕,発症初期における感度は高くない.
結核性胸膜炎の胸水検査
●胸水は蛋白含有量が多く濃黄色であることが多い.血性や乳び胸水であれば結核よりは悪性腫瘍を疑う.
●滲出性胸水でリンパ球優位であれば結核性胸膜炎を念頭におく.
●多数の中皮細胞を認めれば結核性胸膜炎の可能性は低い.
●アデノシンデアミナーゼ(ADA)≧40-50U/Lが非特異的検査では最も有用な指標だが,膿胸・関節リウマチ・悪性リンパ腫でも高値となる.
●結核性胸膜炎と癌性胸膜炎における胸水の違い
▶心不全患者では65.3%で多数の中皮細胞を認めるが結核性胸膜炎では1.2%のみである〔S Afr Med J. 1980 Jun 7; 57(23): 937-9〕.
●胸水一般検査による結核性胸膜炎の診断
▶pHは7.40を超えることは稀で,7.30を下回ることは20%のみである.また胸水の糖は80-85%で60mg/dL以上であるが,30mg/dL未満のことも15%である〔Chest. 2007 Mar; 131(3): 880-9〕.
●胸水中ADA
▶HIV患者でもADAは50.1[21.7-94.6]U/Lと,非HIV患者の62.9[22.4-114.5]U/Lよりは低いものの高値となる〔Clin Chem. 1996 Feb; 42(2):