肺癌の疫学
●肺癌は日本での罹患者は7万人,死亡者は6万人で悪性腫瘍の中ではそれぞれ第3位と第1位と重要な疾患である.
●高齢・男性・喫煙がリスクとして最も重要であるが,アスベスト曝露歴も確認する必要がある.
●肺癌の85%は喫煙で説明が可能である〔Am J Public Health. 1992 Jan; 82(1): 37-40〕.
肺癌の病歴・身体所見
●呼吸器症状(血痰,咳,呼吸困難,胸痛),消耗症状(倦怠感,食欲低下,体重減少),ばち指が肺癌の症候として重要であるがいずれも感度が高いわけではない.
●腫瘍随伴症候群により多種多様の症候を呈することがあり,原因不明の神経筋疾患や電解質異常を契機に肺癌が見つかることもある.
●2年以内に呈した症候による肺癌の予測
●腫瘍随伴症候群
▶小細胞癌では神経筋関連の腫瘍随伴症候群が多く,辺縁系脳炎,亜急性小脳変性症,オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群,亜急性感覚性ニューロパチー,Eaton-Lambert症候群,重症筋無力症が知られる.
▶SIADH・低Na血症も小細胞癌に多いが,高Ca血症は扁平上皮癌に多い.
▶大細胞癌ではサイトカインの影響で炎症性疾患を思わせる高熱と白血球増加を呈することもある.
●肥大性肺性骨関節症では深部の灼けるような痛みを四肢末端に訴え,多発関節炎・骨膜下の骨新生を認める.
●腫瘍の直接浸潤・圧迫による結果として上大静脈症候群,Pancoast症候群,Horner徴候を来すことがある.
肺癌の存在診断
●スクリーニングでは感度を高めるために喀痰細胞診と胸部単純X線写真を組み合わせるが,それでも感度は70%程度である.
●喫煙者の血痰など肺癌のリスクが高い場合,肺癌の除外のためにはCT検査を必要とする.
●検診における診断特性
●喀痰細胞診は中心型早期肺癌の唯一の発見法であり,欠かすことはできない検査である.
●検診のX線写真