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6 脳卒中

脳卒中の疫学

脳卒中患者は平成20(2008)年時点で日本に150万人以上いると推定され,寝たきり原因の1位で死因の3位を占める.

50歳以降に多い.

平成20年度の患者調査にて134万人の脳卒中患者が確認されており,未受診の患者を含めると150万人以上と推定されている.

脳卒中のリスク要因

高血圧・脂質異常症・喫煙・肥満は頻度が高く,修正可能なリスク要因として重要である.

心房細動の頻度は高くはないが相対危険度は最も高いリスク要因である.

脳卒中の分類

脳卒中は脳梗塞が5-6割と最も多く,脳出血が3割,くも膜下出血が1-2割を占める.

脳梗塞の中ではラクナ梗塞が5-6割と最も多く,アテローム血栓性が3割,塞栓症が1-2割を占める.

脳卒中の存在診断

急性発症の神経症状があっても15%は脳卒中ではない.

低血糖を除外するために血糖の迅速測定を行うべきである.

急性発症でない場合(頭蓋内占拠性病変),発症時に痙攣があった場合(Todd麻痺),左右差のある神経学的徴候を認めない場合や意識障害を伴う場合(低血糖,敗血症,薬物中毒など)は,脳卒中ではない可能性が高くなる.

ラクナ梗塞では片側運動障害や感覚障害,小脳失調を呈するのが典型的であり,めまい感のみ,嚥下障害のみ,構音障害のみの症状の場合は脳梗塞ではない可能性が高い.

脳梗塞の診断が確実であっても低血圧や胸背部〜頸部痛があれば大動脈解離,発熱があれば感染性心内膜炎を除外する必要がある.

初診時脳卒中と診断されたうち19%は脳卒中ではない〔Arch Neurol. 1995 Nov; 52(11): 1119-22〕.

Cincinnati prehospital stroke scale(CPSS)

▶上肢保持不能,構音障害,顔面神経麻痺のうち1つでもあれば脳梗塞を強く疑うが,1項目だけではPPV=72%,3項目揃ってもPP

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