診療支援
診断

17 心因性疾患

心因性意識障害

目を開けている場合,視覚的に脅かして閉眼すれば心因性と考える.

薄目を開けている場合,眉毛の小刻みの震えがあれば心因性と考える.

目を閉じている場合,Bell現象陽性ならば心因性と考える.

常に医師と反対側への共同偏視や,常に地面側を向く共同偏視ならば心因性と考える.

arm-dropping testで顔面に手が落ちないならば心因性と考える.

Bell現象とは,上眼瞼を他動的に挙上させると眼球が上転することを指し,無意識下でも診察に抵抗していることを示唆する.

Henry and Woodruff sign:心因性では左右いずれの側臥位にても地面を固視する〔Lancet. 1978 Oct 28; 2(8096): 920-1〕.

心因性運動障害

診察室の外での行動や,とっさの行動を注意深く観察する必要がある.

身体所見では本当の麻痺ならあるべき協調運動がないことを検出すること(Hoover試験など)が最も重要である.

器質的疾患による半身麻痺では顎先を患側に向けることはできる.

引きずり歩行,常に検者側に転倒する歩行障害は心因性を疑う.

女性が79%で,下肢を含む運動障害であることが94%と多い〔Brain. 2010 May; 133: 1537-51〕.

機能性運動障害の診断

▶axis Iの精神疾患とは増悪・寛解を伴ううつや不安障害などの精神疾患群を指す.

▶la belle indifférenceとは症状に無関心であることを指す.


協調運動の検出

▶Hoover試験:仰臥位で片側の下肢を挙上してもらうと,対側の下肢には逆向きの力が働く.心因性片側下肢麻痺の場合,健側の下肢挙上で患側の下肢に逆向きの力が働くことがあったり,患側の下肢を挙上しようとさせても健側の下肢に逆向きの力が入っていない(努力していない)ことが確認される.

□比較試験もなされている数少

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?