多形滲出性紅斑
●新旧が混在する(多形性)皮疹が四肢末梢伸側から対称性に始まる.
●浮腫性の辺縁(滲出性)をもつターゲット様皮疹が1つでもあれば多形滲出性紅斑の可能性が高い.
●発熱とともに粘膜皮膚移行部病変がある場合はStevens-Johnson症候群を,水疱・表皮剝離が体表面積の30%以上あれば中毒性表皮壊死剝離症(TEN)を考え,重篤化に備える.
●原因としては単純ヘルペス感染,Mycoplasma感染,薬剤が重要である.
●疫学
▶20-40歳に多いがいかなる年齢もありうる.
●皮疹の特徴
▶突然発症し,1-2cmに増大する多少の隆起を伴う円形紅斑.
▶瘙痒感を伴ったり,発熱・頭痛・関節痛を伴ったりしうるため,蕁麻疹や感染症・膠原病との鑑別が重要である.
▶個々の発疹の中心部は暗紅色調が強く,時に水疱が認められる.これを取り巻く浮腫性で色調の淡い中間層があり,最外層の紅斑の3層構造を呈するものを典型的標的病変(typical targets)と呼ぶ.
▶発症後1週間程度はターゲット様皮疹がはっきりしないことがある.
▶10日間以上にわたり,新たに皮疹が出現することがあり,新旧の皮疹が混在して多形を呈する.
▶発症から治癒までは1-6週間かかる.
●原因疾患
▶1/3で上気道症状などの前駆症状を認める.
▶単純ヘルペスウイルス(HSV)
□多形滲出性紅斑の50%以上はHSVが原因ともされ,1/3で再発する.
□反復性多形滲出性紅斑でHSVが原因と思われる症例の60%,特発性と思われる症例の50%で,皮膚からのHSV-PCRが陽性となる〔Dermatology. 2003; 207(4): 349-53〕.
□HSVのうち66.7%がHSV-1で,27.8%がHSV-2,5.6%は両者が原因である〔J Med Virol. 2003 Nov; 71(3): 423-8〕.
▶Mycoplasmaは特に小児で
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