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診断

1 腰痛症と脊椎圧迫骨折

腰痛症の原因

腰痛症の多くは腰部傍脊柱筋や腰椎のひずみ・捻挫から来ると解釈される非特異的なもの(特発性)であるが,体動で誘発しない腰痛は尿管結石や大動脈疾患といった内臓疾患を考える必要がある.

急性腰痛症では悪性新生物,感染症,炎症性疾患の3つが否定的で,神経学的所見がなく,骨折が疑われなければ4-6週間は対症療法のみで精査は不要である.

物理的要因では変性性疾患,椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄症,脊椎圧迫骨折,脊椎辷り症を考える.

人口の60-90%は一生のうち1度は腰痛症を経験する.

急性腰痛症の85%は正確な解剖学的原因は分からない.

単純X線写真を撮影すると満足度は上がるが,かえって痛みは強くなる可能性があるとされ〔BMJ. 2001 Feb 17; 322(7283): 400-5〕,急性腰痛は1週間で50%,2週間で90%が自然軽快することから全例でX線写真の必要はないと考えられている.


腰痛症の原因

▶悪性新生物では多発性骨髄腫,転移性癌,リンパ腫・白血病,脊髄腫瘍,後腹膜腫瘍,原発性脊椎腫瘍を考える.

▶感染症では骨髄炎・椎間板炎,傍脊椎膿瘍・硬膜外膿瘍を考える.

▶炎症性関節症はしばしばHLA-B27と関連があり,強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,反応性関節炎,炎症性腸疾患を考える.

▶慢性腰痛で原因不明なものの31%で精神疾患の合併があるとされる〔Eur J Pain. 2011 Nov; 15(10): 1075-80〕.

MEMO 急性腰痛症の対症療法

ベッド上安静は指示しないほうが疼痛改善やADL維持にはよい〔Cochrane Database Syst Rev. 2010 Jun 16;(6): CD007612〕.

厚生科学研究班による科学的根拠(evidence based medicine;EBM)に基づいた腰痛診療のガイドライン(2001)によると,アセト

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