診療支援
診断

1 眼科的疾患

視力障害の原因

高齢者では緑内障,糖尿病性網膜症,加齢黄斑変性,白内障による視覚障害が高頻度である.

急性の視力障害の原因は片側性かどうか,疼痛や充血はあるかにより鑑別を絞ることが可能である.

赤目の診断(結膜充血と毛様充血)

結膜充血(結膜炎)は結膜円蓋部に最も充血が強く,眼瞼結膜充血や眼脂が見られる.

結膜炎では疼痛,羞明,(瞬きで改善しない)視覚障害は出現しないので,これらがあれば重篤な疾患と考える.

角膜輪部周辺から放射状で直線状に起こる充血は毛様充血と呼ばれ,重篤な疾患(ぶどう膜炎,角膜炎,強膜炎,急性緑内障発作)を考える.

片側性の場合,充血側が縮瞳していれば角膜炎・ぶどう膜炎,散瞳していれば急性緑内障発作を考える.

重大疾患(角膜炎やぶどう膜炎)の検出

羞明があれば虹彩炎や角膜炎を考える.間接対光反射や輻輳反射による疼痛誘発があれば虹彩炎を疑う.

▶輻輳反射による虹彩炎の診断

上記以外には結膜下出血,瞼裂斑炎,麻疹,レプトスピラ症,デング熱,川崎病,毒素性ショック症候群,Basedow病眼症でも赤目を呈する.

結膜炎の鑑別

細菌性,ウイルス性,アレルギー性の3つに分類される.

細菌性結膜炎は朝に開眼もできないほどの両側性の膿性眼脂であれば典型的である.

ウイルス性結膜炎は前耳介リンパ節腫脹や,下眼瞼に有意な結膜濾胞(周囲に血管が見られる)があれば疑うが,片側性の場合はChlamydiaと鑑別が難しい.

流行性角結膜炎,咽頭結膜熱,急性出血性結膜炎は感染性が強く,夏に流行性があれば強く疑う.

上気道炎症状あればアデノウイルス感染症,麻疹,川崎病を考える.

単純ヘルペスウイルス性は片側性や再発性であることが多い.眼瞼に皮疹を認めれば確定的だが,皮疹がないと鑑別は困難である.

両側性で痒みが強ければアレルギー性結膜炎を考える.上眼瞼結膜中心に乳頭を認めることが

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