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診断

3 急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎の起因菌

肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,Moraxellaが主な起因菌であるが慢性化すると嫌気性菌が関与する.

経過が4週間以内の場合は急性副鼻腔炎と呼ばれ,経過が12週間以上のものを慢性副鼻腔炎と呼ぶ.

鼻汁培養は推奨されず〔Pediatr Infect Dis. 1984; 3: 226-32〕,多くの場合は経験的な抗菌薬治療が行われる.

副鼻腔炎の臨床症候

急性細菌性副鼻腔炎は,急性上気道炎に罹患後5-7日遅れて発熱・鼻症状が増悪するか,鼻症状が10-14日間以上継続する場合に疑う.

膿性鼻汁,鼻声,嗅覚障害を認めることが多い.

前屈位や頬骨の叩打にて増悪する顔面痛も副鼻腔炎を疑う所見である.

急性副鼻腔炎の臨床所見

▶急性細菌性副鼻腔炎は急性上気道炎後に併発することが多いが,アレルギー性鼻炎に罹患している場合や歯原性感染がある場合(急性細菌性副鼻腔炎の5-10%は歯根の感染から二次的に起こる)は先行する上気道炎を伴わずに発症する.また集中治療領域では経鼻胃管留置に伴う副鼻腔炎が重要である.


上顎洞透光検査

▶上顎洞透光検査のκは0.22と再現性は低い〔JAMA. 1993 Sep 8; 270(10): 1242-6〕こと,日常の明るい診察室での検査は困難であることから,実際に施行されることは少ない.

▶眼窩下縁に光源を置き,硬口蓋への透過光を観察する方法と,光源を患者の口に挿入し,光源から漏れる光を完全に遮断して顔面頬部への透過光を観察する方法がある.

副鼻腔炎の検査

上顎洞の評価においてはWaters法で撮影し,air fluid,透過性低下か粘膜肥厚>5mmがあれば上顎洞炎と考えるが,臨床診断を覆すほどの診断特性はない.

超音波検査では上顎洞の後壁を描出するか,皮膚から11mm以上透見が可能な場合に,Waters法とほぼ同等の診断特性で副鼻腔炎といえる

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