診療支援
診断

1 産婦人科的急性腹症

産婦人科的な急性腹症

女性の下腹部痛では骨盤炎症性疾患(PID),子宮外(異所性)妊娠,卵巣出血,卵巣囊腫茎捻転の4つを考えなければならない.

妊娠の診断

“女性をみたら妊娠を疑え”はやはり格言である.

「妊娠の可能性はありますか?」と質問するのではなく,月経歴(最終正常月経開始日)と性交渉歴(や避妊方法)を聴取すべきである.

妊娠反応は妊娠4-5週で陽性化,経腟エコーでは妊娠5週で胎囊を検出,妊娠6週で胎児心拍の確認が可能となる.

妊娠の可能性

▶475(370-625)人に1人が妊娠を否定していても妊娠している〔BMJ. 2002 Feb 23; 324(7335): 458〕.

▶19歳以下での出産を若年出産,35歳以上での出産を高齢出産とするが,これらは特別珍しいものではない.


病歴による妊娠の診断

▶規則正しく月経が来ていることと,その出血パターンがいつも通りかを確認する.着床に関連して少量の出血が月経と見紛うタイミングで見られることはしばしば経験される.本人が普段とは異なる出血であると気づいていることが多い.

▶性交渉がなければ妊娠はありえないが,避妊器具(コンドーム)を用いていることは妊娠の否定にはならない.

▶つわりは50-80%で見られる朝に強い嘔気で,妊娠5週から始まり10週でピークに達し15週までで改善するのが目安であるが,個人差が大きい.

妊娠を示唆する身体所見

▶Chadwick徴候:子宮腟部は腟壁を含め強い充血により妊娠初期から暗紫藍色を示しリビド着色を呈する.上記のデータは優れるが追試験されておらず現在ではあまり信頼性をもつ指標としては考えられていない.

▶妊娠第2三半期以降は恥骨結合上縁から子宮底までの距離(cm)は妊娠週数と一致する.


検査所見

▶妊娠反応検査(迅速尿中HCG検査)

□医療機関で扱っているキット(検出能:25mIU/mL)では性交後初回の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?