医療を大きく診断・治療の2つのカテゴリーに分けるならば,若手医師にとってより困るのは診断であろう.病名が分かれば治療を調べることはできるが,診断が付かない段階では教科書を調べるとしてもどこを調べてよいのか分からないからである.
病態については過去の偉業の集積である『ハリソン内科学』や『朝倉内科学』などは優れた教科書である.また日進月歩の治療学については『UpToDate』が世界中でスタンダード化しつつある教科書といえる.
一方,診断学については『Batesの診察法』『McGeeの身体診断学』『Wallachの検査値診断マニュアル』(これらはすべて和訳もされている)といった良書はあるが,いずれも確定診断に至るまでの一連の過程(病歴・身体所見・検査)をすべては網羅はしておらず,いわば診断学の断片を記したものに留まっている.
そこで病歴,身体所見,検査という診断学の一連の流れのすべてを網羅し,