診療支援
治療

第5版 序

 最近10年,外用薬が主体であった皮膚科治療に生物学的製剤,JAK阻害薬など多彩な治療モダリティーが導入され,皮膚科治療は変革の時期を迎えている.皮膚疾患に対して,単に診断をつけるだけではなく,症状や重症度に応じて最適かつ最新の治療を行い,皮膚科医はそのアウトカムに責任をもつ時代に突入したといっても過言ではない.本書はそういった皮膚科治療の変革を背景として,新たに第5版として世に出されることになった.

 しかし,本書に限っては第5版といっても,第4版の単なる焼き直しではない.まず編集者については,第4版の塩原哲夫先生,宮地良樹先生,渡辺晋一先生,筆者から,第5版では,筆者以外の3名は交代となり新たに藤本学先生,門野岳史先生,椛島健治先生をお迎えした.内容的には,ほぼ全項目の執筆者を入れ替え,約280名の専門家が,全35章・約500項目を執筆している.さらに,各項目の見直しに加え,「遺伝子パネル検査」「外用薬の基剤ごとの使い分け」「IgG4関連皮膚疾患」「自己炎症性症候群」などの項目を新たに追加した.以上のようなプロセスにより,第5版は第4版とは異なり,全く新しい皮膚科治療の実践書に生まれ変わったと言える.本書が多くの皮膚科医に広く受け入れられ改訂を繰り返している理由としては,前述のように改訂ごとに内容を時代に合わせて一新しているからではないだろうか.

 本書は,定評ある『今日の治療指針』の皮膚科に特化した実践書であり,今回の改訂で整理した見出し「病態」「診断」「治療」の3本柱で皮膚疾患をわかりやすく解説し,臨床で役立つフルカラーの豊富な写真と具体的な処方例を掲載している点が特徴である.したがって,本書は皮膚科診療に携わる医師であれば,研修医から専門医まで幅広く使用できる.また,本書は比較的コンパクトであるため診療の傍らに置いて常に参照可能である.かく言う筆者も,外来ブースには本

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