診療支援
治療

初版 序

 医学書院から毎年発行されている『今日の治療指針』は,すべての科にわたる臨床診療事典として,また日進月歩の医学の進歩を反映した書物として広く実地臨床医に親しまれている.しかしながら皮膚科医や,皮膚疾患を日常的に診る機会の多い他科の医師が数多い皮膚疾患の幅広い知識と情報を求める場合,同書に取り上げられている項目数ではいかにも物足りないことは以前から指摘されていた.したがって,読者の要望をうけて医学書院が『治療指針』の皮膚科版を企画したことはきわめて時宜にかなったものといえるだろう.たまたま編集の相談をうけたわれわれは,実地に役立つ“皮膚疾患治療事典”である本書の刊行は意義あるものと考え,相集って本書のあり方について検討を重ねた.その際の決定事項として,

 (1)取り上げる内容は,日常診療でしばしばみられる疾患や,専門知識を必要とする疾患を中心とするが,ごく稀にしか遭遇しない疾患でもまた専門医のアドバイスを必要とすると考え,重要なものはできるだけ記載して,事典としての役割も果たせるようにする.

 (2)皮膚疾患の診断には視診が不可欠であることに鑑み,カラーおよびモノクロの臨床写真を多数掲載するとともに,本文も各疾患,項目に通暁したベテランの専門医により診療のコツ,とくに実地に役立つ治療法を書いていただく.

 (3)疾患項目の他に,皮膚科以外の医師にも役立つようプライマリ・ケアのための鑑別診断のポイントや,治療法の最近の進歩,遺伝相談,心身症など多面的に章をおこし,皮膚科および関連する専門領域のかたにお願いして最新の知見をわかりやすく記述していただく.

 ──などがあげられた.ただちに全国の第一線で御活躍中の先生方170名に御執筆をお願いして,ここに刊行の運びとなったが,大変お忙しい方々ばかりであるにもかかわらず比較的短時日のうちに御執筆下さり,一方ならぬ御協力をいただいた.編集者一同心

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