診療支援
治療

虫刺症に続発する皮膚疾患
Skin diseases developed after insect bites
夏秋 優
(兵庫医科大学教授)

【虫刺症とは】虫刺症(虫刺性皮膚炎)は,カ,ブユ,ノミ,トコジラミ,ダニ,ハチ,ムカデ,ケムシなどの有害節足動物の吸血・刺咬・接触によって生じる皮膚炎の総称である.そのなかで,吸血性節足動物による皮膚炎を狭義の虫刺症とする場合もある.発症機序は皮膚に侵入する唾液腺成分や毒成分によって生じる刺激性,あるいはアレルギー性の炎症反応である.アレルギー反応の場合は主に即時型と遅延型に分けられるが,個々の感作状態の違いによって臨床症状の現れ方に個人差がある.

【虫刺症を見たら】虫刺症の多くは瘙痒を伴う紅色丘疹が孤立性に認められる臨床像を示す.しかしノミ刺症では水疱を形成しやすく,伝染性膿痂疹や天疱瘡,類天疱瘡などの水疱性疾患との鑑別が重要である.ブユ刺症やイラガ類の毒棘による皮膚炎で,刺咬後に強い腫脹を生じる場合は蜂窩織炎との鑑別が必要になる.ドクガ類の幼虫による皮膚炎では帯状疱疹や中毒疹などの初期像

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