診療支援
治療

露光部に多い疾患
Photo-distributed diseases
錦織 千佳子
(神戸大学名誉教授)

【露光部に多い疾患とは】日光による病的な反応によって生じる疾患群,すなわち「光線過敏症」「日光曝露によって増悪する皮膚疾患」に加えて「日光による生理的な反応によって生じる皮膚疾患」が含まれる.①光線過敏症:「健常人に照射されても,何ら皮膚に異常を呈さない光照射で,照射部位に異常な反応を呈する疾患」と定義される.太陽光線によって起こる皮膚障害が,有意に少ない量で生じたり,通常とは質的に異なる反応が生じる場合に「光線過敏症」ととらえる.日焼けは日光曝露によって誰にでも生じる生理的な反応であり,健常人でも半日海辺で日光浴をすれば水疱が生じうるが,それは露光部に生じる「日光皮膚炎」であり「光線過敏症」とはいわない.一方,5分ほどの日光曝露で水疱形成を伴う高度の炎症をきたせば,光線過敏症の範疇に分類される.また,健常人では痒みは生じないのに,光が当たると痒いと感じたりするのも「光線過敏症」の症状の表現型の1つである.このように,「光線過敏症」は光に対して量的に,あるいは質的に健常者とは異なる反応を示す病態を指し,表1-27に示す通り,先天性のものから後天性のものまで,また,アレルギー性のもの,代謝性のもの,と多くの疾患が含まれる.②日光曝露によって増悪する皮膚疾患:日光曝露により原疾患の一症状である皮疹が増強したり,時には全身の病勢も悪化したりするような疾患がこれに含まれる.③日光による生理的な反応によって生じる皮膚疾患:日光の急性曝露によって生じる「日光皮膚炎」と,慢性曝露によって生じる光老化に伴う疾患があり,後者には,老人性色素斑(日光黒子),項部菱型皮膚に加え,後述する日光の関与する良性・悪性皮膚腫瘍が含まれる.

【露光部に多い疾患をみたら】次の病態・疾患に留意する.①光線過敏症:光線過敏症(表1-27)のなかのどの疾患かを症状,日光曝露とのタイミング,作用波長などを勘案しな

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