【陰部に多い疾患とは】陰部には生殖器,排泄孔とそれらを囲む粘膜が存在し,周囲皮膚にはアポクリン汗腺が豊富である.そのため,性感染症や日和見感染が多い.また全身性疾患の1症状として粘膜病変が出現することもある.さらに粘膜扁平上皮やアポクリン汗腺などから発生する腫瘍性病変も念頭におく必要がある.
【陰部に皮疹,粘膜疹をみたら】皮疹の性状,数,分布を観察すると同時に,前述の陰部に特有の特徴から,排尿排便の状況,性感染症の感染機会,随伴する全身症状を慎重に問診する.一方で,陰茎真珠腫様丘疹や腟前庭乳頭腫症などの生理的な状態との鑑別も重要である.
□鑑別のポイント
1.病歴による鑑別
下痢や尿失禁が続いているようであれば1次刺激性接触皮膚炎や粘膜カンジダ症などを,性感染症を疑う病歴があれば単純疱疹,硬性下疳,扁平コンジローマ,軟性下疳,尖圭コンジローマ,Bowen様丘疹症,などを想起する.陰囊を含む全