【手掌の紅斑とは】手掌の皮膚が紅色を呈する状態であり,真皮の毛細血管や小動脈の拡張を反映するため,圧迫により消退するのが特徴である.手掌は解剖学的に動静脈シャントが多い部位であり,さまざまな原因による血管拡張が目立ちやすい.色調の変化のみにとどまる場合もあるが,疾患によっては浮腫を伴って隆起したり,角化,鱗屑や痂皮を伴うこともある.母指球部や小指球部に限局してびまん性紅斑をきたす状態を手掌紅斑とよぶが,単一の疾患というよりは多病因性の症候であり,手掌に紅斑を生じるデルマドロームと考えることができる.
【手掌の紅斑をみたら】次の病態・疾患に留意する(表1-33)図.①湿疹皮膚炎:接触皮膚炎,アトピー性皮膚炎など.②炎症性角化症:毛孔性紅色粃糠疹,掌蹠膿疱症が代表的.乾癬や扁平苔癬でも手掌に病変がみられることがある.③紅斑症:多形紅斑は四肢伸側に好発し,通常は手背にみられるが,手掌優位に出現する