【概説】皮膚真菌症では,真菌要素の検出が診断には必須である.臨床的に類似の疾患や非典型例も多いので,少しでも疑わしいときには直接鏡検を行う必要がある.
検査の進め方
表在性真菌症(白癬症,カンジダ症,癜風)では,直接鏡検を行う.頭部白癬や体部白癬では,培養検査まで行うのが望ましい.深在性真菌症では,直接鏡検で菌要素の確認は行えるが,培養検査で菌種の同定まで行う必要がある.
1.直接鏡検
①検体採取:直接鏡検で陽性所見を得るためには,検体の採取部位が重要である.一般的に,皮疹辺縁部の鱗屑を採取する.鱗屑は,健常部に向かって剝離するように採取する.皮疹に水疱や膿疱があれば,その蓋を採取し,鏡検を行う.頭部白癬では,鱗屑のみならず,毛髪も採取する.折れている毛髪や抜けやすい毛髪はそのまま採取する.爪白癬では,混濁している爪の先端部には真菌は少ない.混濁部と健常部の境界部までニッパー型爪切りなどで切り込