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真菌の検出と培養法
Detection of fungi by direct microscopy and culture from skin specimen
竹中 基
(長崎大学准教授)

【概説】皮膚真菌症では,真菌要素の検出が診断には必須である.臨床的に類似の疾患や非典型例も多いので,少しでも疑わしいときには直接鏡検を行う必要がある.


検査の進め方

 表在性真菌症(白癬症,カンジダ症,癜風)では,直接鏡検を行う.頭部白癬や体部白癬では,培養検査まで行うのが望ましい.深在性真菌症では,直接鏡検で菌要素の確認は行えるが,培養検査で菌種の同定まで行う必要がある.

1.直接鏡検

①検体採取:直接鏡検で陽性所見を得るためには,検体の採取部位が重要である.一般的に,皮疹辺縁部の鱗屑を採取する.鱗屑は,健常部に向かって剝離するように採取する.皮疹に水疱や膿疱があれば,その蓋を採取し,鏡検を行う.頭部白癬では,鱗屑のみならず,毛髪も採取する.折れている毛髪や抜けやすい毛髪はそのまま採取する.爪白癬では,混濁している爪の先端部には真菌は少ない.混濁部と健常部の境界部までニッパー型爪切りなどで切り込んで,検体を採取する.カンジダ症では,膜様の浸軟した鱗屑や膿疱,白苔などを採取する.癜風では,皮疹の表面を擦ると鱗屑が生じる.その鱗屑を集めて鏡検する.検体は可能な限り多くの場所から多く採取することが重要である.②検鏡手技:採取した検体はスライドグラスの上に置き,カバーグラスをかけ,辺縁からKOH液を滴下し,標本とする.検体はしっかりと溶かして観察する.急ぐ場合,軽く温める場合もあるが,数分~20分程度おけば,十分に融解する.検体が軟化したらカバーグラスの上から軽く押さえて観察する.毛髪の鏡検では,寄生形態も重要なため,押しつぶさない.最初観察したときに真菌をみつけられなくとも,時間が経ち角質層が十分に融解するとみつけられることも多い.使用するKOH液は,水酸化カリウムが入手できれば作製できるが,市販品として,ズーム液があり,頻用されている.KOHと色素が入ったズームブルーも市販されており

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