【概説】①皮膚の抗酸菌症には,皮膚結核,非結核性抗酸菌(NTM:non-tuberculous mycobacteria)症,Hansen病がある.皮膚結核,Hansen病は多彩な臨床像を呈する.NTMには多くの菌が含まれ,それぞれに特徴的な臨床像を呈する.これらの臨床像から考えられる原因菌を想定し,検査を進めていく.②検査法には,古典的なスメア検査,組織検査,抗酸菌培養があるが,近年PCR法,DNAシークエンス法,質量分析法が確立してきた.
【臨床像】①皮膚結核は局所から結核菌が検出される真性皮膚結核と,検出されない結核疹に分けられる.前者には皮膚腺病,尋常性狼瘡,皮膚疣状結核,潰瘍性粟粒結核などがある.②NTMは広く土壌や水,時に滅菌不十分の手術器具などに存在している.感染経路の多くは皮膚の小外傷からなので,指,手,腕,下腿などの裸露部に紅斑,小結節,結節,潰瘍,環状紅斑などの病変を作る.汚染器具などによって,手術縫合部位に難治性の結節や潰瘍を作ることもある.③Hansen病には大きく分けて,類結核型(TT型),らい腫型(LL型),境界群(B群)があり,B群のなかでTT型よりの例をBT型,LL型よりの例をBL型,その中間をBB型としている.TT型では乾燥性の局面,B群では環状紅斑,LL型では早期では浮腫性紅斑,進行するにつれ,浸潤期,結節・局面期へと移行する.④NTMに関しては,菌種により患者背景,臨床像が異なり,これらが診断の助けになるため,以下(1)~(5)に主なものを示す.(1)Mycobacterium marinumは海水と真水が混じり合う汽水域に主に生息し,魚などの表面にもいることから,熱帯魚飼育者,漁業関係者,水族館職員の手などに結節やびらんを形成することが多い.(2)Buruli潰瘍はM. ulceransないしその亜種であるM. ulcerans sub
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