【概説】ウイルスは目に見えるものではないため,検査ではウイルスの核酸や蛋白,病理学的変化,および感染に対する生体反応としての抗体産生をみることで診断を行う(表2-2)図.抗体価の読み方については次項で取り上げる.
検査の進め方
単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)および水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)感染症を疑った場合,まず行うのはTzanckテストもしくはイムノクロマト法によるウイルス抗原検出法である.ヒトサイトメガロウイルス(CMV:cytomegalovirus)感染症を疑った場合は抗原血症検査を行う.非典型例,定量検査を行いたい場合はPCR法や免疫染色による組織診断を行う.
1.ウイルスを検出する検査
ウイルス分離・培養検査は最も直接的な検査である.単純疱疹・帯状疱疹では水疱内容物,ウイルス性発疹症では咽頭拭い液や血液から,手足口病ではそれらに加え糞便などからも行うことができる.野生株とウイルス株の判別や型判別も可能であるが,検出感度が低く,細胞調製などの専門的な設備が必要で,時間もかかり,また,保険適用もないため,迅速診断には不向きである.感染症発生調査や疫学動向の調査に主として用いられる.
2.核酸増幅検査
ウイルスDNAを増幅して検出することで感染を証明する方法であり,ウイルス血症や脳炎を起こしている場合は血液,唾液,髄液などから,またHSV,VZV感染症ではそれに加えて水疱内容物からDNAを抽出してPCR,リアルタイムPCR法,LAMP法を行う.検出感度,特異度とも高く,またリアルタイムPCR法はウイルスDNAを定量化できるため,診断的価値は高く,また治療効果の判定にも有用である.しかし検査施行にはDNA抽出のための器具や装置が必要であり,大学病院や検査会社でのみ施行可能である.
核
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