【概説】ウイルス感染症に対してはしばしば血清学的診断が用いられる.これは,ウイルス感染による宿主の免疫反応の結果である抗体産生を検出することで,感染を診断する方法である.いわゆるウイルス性発疹症の場合に効力を発揮する.原則的に急性期(病初期)と回復期(2~3週間後)のペア血清による抗体価を測定して診断する.IgM抗体の存在は最近の感染を意味し,一時点でも抗体価の陽性が確認できれば診断が可能である.
検査の進め方
ウイルス感染症の血清診断には種々の方法があり(表2-3,表2-4)図図,疾患に応じて,また抗体の出現時期や特色に応じて検査を選択していく(表2-5)図.以下に主な測定法の原理と特徴について簡単に述べる.
1.CF法
補体が抗原抗体複合体に結合し,溶血素と協同して溶血反応を起こす性質を利用したウイルス抗体価の測定法である.CFは長時間持続しないため,過去の感染で得られた免疫状態を知ることはできない.しかし単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症で再活性化を繰り返す場合,発症時にすでにCF抗体が陽性の場合があり,抗体価上昇が明確に証明できない場合がある.また再発による抗体価の変動は一定せず,CFが陰性の場合もある.帯状疱疹では発症後1週間以内に高値を示す.
2.HI法
HI法はウイルス抗体が動物の赤血球の凝集を抑制する性質を利用して抗体価を測定するもので,検体を倍々に希釈していき,どこまで凝集が抑制されたかを観察し,その最終倍率を抗体価とする.感度は低いが,早期に抗体価が上昇し,長時間持続するため,既感染の確認ができる.
3.FA法
ウイルス抗原と特異抗体を反応させ,蛍光色素により検出する方法.特異抗体に直接蛍光物質を標識して検出する直接法と二次抗体に蛍光物質を標識する間接法がある.IgM,IgGなどの免疫グロブリンクラス別の測定が可能である.
4.EIA/ELISA法
抗原または抗
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