診療支援
治療

薬疹検査
Testing for drug eruption
浅田 秀夫
(奈良県立医科大学教授)

【概説】薬疹の検査は,病状を把握するための検査,感染症や薬剤以外の原因による中毒疹との鑑別のための検査,原因薬剤を特定するための検査に大別される.原因薬剤の検索では,即時型アレルギー性,遅延型アレルギー性,非アレルギー性のいずれかに応じて適切な検査法を選択する.また,検査結果は臨床経過と併せて総合的に判断することが重要である.


検査の進め方

(図2-21)

 広範囲に皮疹を認めるときは,検温,表在リンパ節の触診,末梢血液像,生化学検査(肝臓機能,腎臓機能,CRP),尿検査などの一般検査を行う.CRP増加の程度,肝機能障害,腎機能障害の有無が重症度の目安となり,白血球数の増加もしくは減少も重症化を疑わせる所見となる.また,好酸球増多が感染症による中毒疹との鑑別に役立つことがある.薬剤性過敏症症候群(DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome)では,異型リンパ球,好酸球増多を伴う白血球増多,肝機能異常がしばしばみられる.またStevens-Johnson症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome)や中毒性表皮壊死症(TEN:toxic epidermal necrolysis)では,CRP増加,白血球数の増加や減少,肝機能異常,腎機能異常をみることが多い.溶連菌感染症との鑑別にはASO,ASKの測定を,マイコプラズマ感染症やウイルス発疹症との鑑別を要する場合には各種病原体に対する抗体価の測定を行う.DIHSが疑われる場合にはヒトヘルペスウイルス6(HHV-6:human herpesvirus 6)の抗体価を発症初期と4週間後に測定する.末梢血中HHV-6 DNAは発症3週間目に陽性になることが多い.

 中等症以上の薬疹では皮膚生検を行う.SJS/TENでは病理組織学的に,表皮細胞に多数の壊死あるいは表皮の全層壊死がみ

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