【概説】免疫組織化学的手法は,抗原抗体反応というきわめて特異的な反応を利用して,抗原蛋白の局在を明らかにする方法で,蛍光抗体法と酵素抗体法があるが,ここでは後者のみ解説する.酵素抗体法は,ある特殊な酵素によって抗体を標識し,その酵素によって発色する物質を反応させることで,対象抗原を可視化させる.通常抗原特異的な1次抗体に,標識化した2次抗体を反応させる系が用いられる.1次抗体は,かつてはホルマリン固定パラフィン包埋切片上では用いることができないものもかなりあったが,現在ではそれが可能なものが数多く市販されている.なお,ホルマリン固定による蛋白の架橋の影響で対象抗原がマスクされることがあり,その場合は標本の賦活化(加熱処理,蛋白分解酵素処理など)が必要である.
検査の進め方
目的とする生体内蛋白に応じて,適宜特異的1次抗体を選択する.皮膚科領域で用いられる主な免疫組織化学染色について,表2-1