診療支援
治療

腫瘍の画像診断
Diagnostic imaging
宮川 卓也
(東京大学講師)

【概説】皮膚腫瘍や皮下腫瘍では,肉眼所見,触診所見のほか,ダーモスコピー,超音波検査,CT,MRI,PET,シンチグラフィなどから診断や治療につながる情報を得る.腫瘍が表在性で,表皮から真皮上中層くらいまでの観察はダーモスコピーが優れているが,それより深部に腫瘍が局在する場合は,超音波検査やMRIが優れている.超音波検査やMRIは,腫瘍が存在するかどうかの評価,腫瘍がどのように広がっているかの評価,腫瘍の鑑別診断などに役立つ.侵襲が少ないため使い勝手もよく,ダーモスコピーと併せて皮膚科領域ではぜひ精通したい検査である.本項では超音波検査およびMRIについて,基本的な項目を解説する.


検査の進め方

1.超音波検査

1)検査の原理と特徴

 超音波検査では,固有の周波数の超音波をプローブから対象に向かって送信し,音響的に性質の異なる組織の境界で反射してきた反射波を受信して,その信号をコンピュータ処理し,画像として表示する.液体は音波が通過しやすくエコー輝度が低く,黒く描出され,骨などの音波が通過しにくいものはエコー輝度が高く,白く描出される(図2-40a).周波数が上がるほど解像度は上昇するものの,超音波は深部で減弱するため,深部病変の描出が不明瞭となる.表在臓器の観察は通常9MHz以上のプローブを使用し,皮膚や皮下の浅い病変は15MHz以上の高周波プローブを使用すると観察しやすい.

 超音波検査にはさまざまなモードがあり,皮膚科領域では基本的にB(brightness)モード(輝度を表示するリアルタイム断層表示法)とカラードプラモード〔ドプラ効果(音源が移動すると周波数が変化する)を利用して血液の移動方向,速度を観察できる表示法〕を主に使用する.Bモードやカラードプラモードに習熟してきたら,パワードプラモード(赤血球密度を信号の強弱としてとらえる表示法.低流速の信号でもとらえることがで

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