皮膚科領域で用いられる分子生物学的検査法について紹介する.主に,腫瘍性疾患の診断,遺伝性疾患の診断に用いられる.検査の原理と限界を知ることが,診断と治療戦略立案のために不可欠である.
Ⅰ 遺伝子再構成検査
【概説】B細胞またはT細胞のモノクローナルな増殖の有無を調べる方法であり,腫瘍性増殖なのか反応性増殖なのかの鑑別に用いられる.ただし反応性増殖であっても,ある程度のモノクローナルな増殖(例えば,何らかの特異的な抗原に対する抗体を産生する特定のB細胞クローンの偏った増殖など)がみられることがある.また,腫瘍組織には腫瘍免疫が働くため腫瘍細胞以外のT細胞,B細胞も多数存在しており,それらが混在したサンプルを検査していることを念頭におく必要がある.検査結果は臨床像と併せて総合的に判断しなければならない.
【検査の原理】B細胞,T細胞はそれぞれ,免疫グロブリン,T細胞受容体の遺伝子をゲノムDNAレベ