診療支援
治療

抗腫瘍外用薬
Antineoplastic ointment
並川 健二郎
(国立がん研究センター中央病院医長)

Ⅰ メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル)

【概説】メトロニダゾールを有効成分とするゲル剤であり,臭気物質を産生するグラム陽性およびグラム陰性嫌気性菌に対する抗菌作用を有し,癌性皮膚潰瘍部位の殺菌と臭気の軽減を目的として使用する.

【適応】癌性皮膚潰瘍.

【使用方法】直接塗布するか,ガーゼなどにのばして貼付する.塗布表面が乾くことがあり,ガーゼが固着している場合は無理に剝がさず,十分に濡らしてからゆっくり交換するようにする.

Px処方例

ロゼックスゲル 1日1~2回 単純塗布またはガーゼにのばして貼付


Ⅱ モーズペースト(院内製剤)

【概説】塩化亜鉛を有効成分とする院内製剤であり,腫瘍組織を蛋白変性させて固定する作用を有する.表面が潰瘍化した皮膚悪性腫瘍を対象に,出血,滲出液,悪臭の低減や,腫瘍の減量を目的に用いられる.

【適応】表面が潰瘍化した隆起性の皮膚癌や皮膚転移など.

【使用方法】周囲の正常組織をワセリンやラップなどで保護してから,腫瘍表面にモーズペーストを塗布する.固定の程度や痛みに応じて,数分~数時間後にモーズペーストをふき取る.

Px処方例 以下を院内で調剤する.ペーストの硬さはグリセリンや亜鉛華デンプンの量で調整する.

塩化亜鉛飽和溶液100mL+亜鉛華デンプン50g+グリセリン20~40mL 1日1回 塗布 [保外] 院内製剤


Ⅲ フルオロウラシル軟膏(5-FU軟膏)

【概説】代謝拮抗薬であるフルオロウラシルを有効成分とする軟膏であり,癌細胞の増殖を抑える作用を有し,皮膚悪性腫瘍の局所制御を目的に用いられるが,適応は限られる.

【適応】切除不能の皮膚癌や皮膚転移など.

【使用方法】

Px処方例

5-FU軟膏 1日1~2回 単純塗布または密封療法


Ⅳ ブレオマイシン硫酸塩(ブレオS軟膏)

【概説】抗腫瘍性抗生物質であるブレオマイシン硫酸塩を主成分とする軟膏であり,癌細胞の増殖を抑える作用を有

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