診療支援
治療

皮膚潰瘍外用薬
Topical wound healing agents
磯貝 善蔵
(国立長寿医療研究センター副院長)

【概説】皮膚潰瘍外用薬は種々の皮膚潰瘍に対して抗菌作用,壊死組織融解,肉芽形成促進,上皮化促進を目的として用いられる.創傷治癒過程の円滑な促進を目的として,創傷治癒の各病期における病態に応じて用いられる薬剤である.よって,潰瘍に至った原因を取り除くものではない.また,皮膚潰瘍治療では外用薬治療だけでなく,外科的治療や原因への根本的な対策も重要である.治療効果が期待通りでない場合は薬物治療以外の要素も考慮に入れて再検討する.

【適応】各種皮膚潰瘍.褥瘡,下腿潰瘍,糖尿病性潰瘍など.

【使用方法】皮膚潰瘍部位に病変の大きさに応じて外用される.多くの薬剤の添付文書ではガーゼなどにのばして,もしくは直接塗布して,病巣の広さに応じて適量を使用することになっている.実際は,浅くて広範囲な潰瘍にはガーゼにのばして,深い潰瘍には直接塗布して用いることが多い.

【分類・選択方法】皮膚潰瘍外用薬は表皮が欠損した部位である潰瘍に外用されるため,壊死組織や肉芽組織に直接外用される.そのため,主剤の作用とともに基剤による水分調節などの作用も大きい.基剤は水と油の組成や添加物に依存した物理化学的な性質によって分類され,親油性(疎水性基剤),乳剤性,水溶性と分類されている.基剤は創面に作用し,その性質によって創の水分をコントロールする.乳剤性基剤は創面に水を補う性質(補水性)を有し,水溶性基剤は水分の吸収に優れている.ここでは皮膚潰瘍外用薬を主剤の機能に従って分類し,現在の皮膚科臨床で頻用されている外用薬を取り上げる.

【薬剤】(表3-9)

1.抗菌作用を主に期待する薬剤

1)スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)

 スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)は,含有する銀の作用を介して抗菌作用を発揮する.皮膚潰瘍の創傷治癒過程の比較的前期に用いられることが多い.水分の多い乳剤性基剤であり,壊死組織を化学的に除去(デブ

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