診療支援
治療

創傷被覆材
Wound dressings
前川 武雄
(自治医科大学准教授)

 薬機法上,特定保険医療材料に分類され,正式には皮膚欠損用創傷被覆材とよばれる.創傷に湿潤環境を形成する目的で使用される近代的な製材であり,「創の保護」「湿潤環境の維持」「疼痛の軽減」「治癒の促進」が認められる製材と定義される.大きく5つの製材に分類され,いずれの製材も保険償還可能である(表3-10)


Ⅰ ハイドロコロイド

【概説】最も歴史が長く,広く認知された創傷被覆材である.自着性をもち,周囲の健常皮膚に粘着させて使用する.水分の吸収量はさほど多くないため,滲出液の少ない創傷に使用する.

【製材】デュオアクティブET,デュオアクティブCGF,コムフィール,バイオヘッシブAgなど.

【適応】滲出液の少ない創傷.真皮までの創傷に保険適用をもつ製材(デュオアクティブETなど)と皮下組織に及ぶ創傷に保険適用をもつ製材(デュオアクティブCGF,コムフィールなど)に大別される.感染リスクのある創傷ではスルファジアジン銀を含み抗菌作用をもつ製材(バイオヘッシブAg)も使用される.

【注意点】滲出液の多い創傷には適さない.粘着力が比較的強いため,菲薄化した皮膚など脆弱な皮膚に使用する場合は,除去する際の2次損傷に注意が必要である.


Ⅱ ハイドロゲル

【概説】シート状,ジェル状の製材であり,水分含有量が多い創傷被覆材である.ほかの創傷被覆材は滲出液を吸収することで創傷の湿潤環境を保つが,ハイドロジェルは乾いた創面に水分を与えることにより湿潤環境を作り出し,壊死組織の自己融解を促す.

【製材】グラニュゲル,イントラサイトジェルシステム,ビューゲルなど.

【適応】創面の乾いた創傷.真皮までの創傷に保険適用をもつ製材(ビューゲル)と皮下組織に及ぶ創傷に保険適用をもつ製材(グラニュゲル,イントラサイトジェルシステムなど)に大別される.

【注意点】自着性はないため,ポリウレタンフィルムなどによる2次ドレッシングが

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