診療支援
治療

ビタミンD3外用薬
Topical vitamin D3
朝比奈 昭彦
(東京慈恵会医科大学主任教授)

【概説】活性型ビタミンD3外用薬は炎症性角化症である乾癬に主に用いるが,毛孔性紅色粃糠疹や掌蹠膿疱症,ならびに魚鱗癬や掌蹠角化症などの角化異常症にも使用する.その主な有効性の機序は,表皮細胞に対する分化誘導作用や増殖抑制作用である.さらに,T細胞の分化調節や制御性T細胞の誘導作用,免疫担当細胞の炎症性サイトカイン調節作用など,多様な免疫修飾作用も知られている.ステロイド外用薬のような速効性はないが,皮膚萎縮や毛細血管拡張,皮膚感染症などの副作用を起こさないうえ,乾癬に使用した場合は寛解後に再燃までの期間が長く,膿疱化やタキフィラキシーもない.そのため,乾癬の外用薬では第1選択薬の1つと位置づけられ,特に寛解後の維持目的,あるいはステロイド外用薬を継続しにくい部位などに使用しやすい.副作用として高Ca血症に注意する.

【適応および薬剤】製剤によって,保険適用となる疾患や使用上の注意点が若干異なる(表3-11).また,ボンアルファ以外はいずれも有効性の高い高濃度の製剤で,以下に述べる高Ca血症の副作用を予防するため,表3-11のように1日あるいは1週間の外用上限量が定められている.低出生体重児,新生児,乳児を除く小児に対する使用上の注意の記載がないのは,低濃度のボンアルファのみである.刺激が比較的強いドボネックスのみ,顔面には使用しない.さらに本剤は,エビデンスレベルが低いものの保険適用外の疾患に使用されることもある.難治な尋常性疣贅では,本剤の密封療法(ODT)あるいはスピール膏との併用による有効性が示されている.結節性痒疹への有効性もあり,免疫調節作用が関与すると考えられている.尋常性白斑では作用機序がはっきりしないものの,紫外線療法や日光浴との併用による治療効果が報告されている.

【使用方法】適応疾患に対して,通常は1日2回(ボンアルファハイのみ1日1回),患部に塗布

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?