診療支援
治療

ラパマイシン
Rapamycin
金田 眞理
(大阪大学寄附講座教授)

【概説】ラパマイシン(シロリムス)は1972年にイースター島の土壌から発見された放線菌Streptomyces hygroscopicusから単離されたマクロライド系の抗菌薬でイースター島(ラパ・ヌイ)のラパと,抗生物質を意味するマイシンとを合わせてラパマイシンと命名された.当初は抗真菌薬として開発されたがmTOR(mammalian/mechanistic target of rapamycin)に作用して免疫抑制作用や細胞増殖抑制作用などさまざまな作用を有することがわかり,最近は抗真菌薬としては使用されない.ラパマイシンの内服薬(Rapamune,ラパリムス)は免疫抑制薬,リンパ脈管筋腫症(LAM:lymphangioleiomyomatosis)の治療薬,抗悪性腫瘍薬,さらにアンチエイジングの薬剤としても注目されている.ラパマイシンの外用薬(ラパリムスゲル)は,結節性硬化症(TSC:tuberous sclerosis)の皮膚病変の治療薬として承認されている.

【適応】ラパマイシンの内服薬は,腎移植後の拒絶反応抑制の免疫抑制薬や薬剤混入冠動脈ステント,さらに,LAMの治療薬としても使用されている.ラパマイシンの外用薬はTSCの皮膚病変の治療薬として,2018年3月に承認され,2019年には英国でTSCの顔面の血管線維腫のファーストラインの治療薬として提唱された.ラパマイシンの誘導体のエベロリムスは心移植・腎移植・肝移植の免疫抑制薬「サーティカン」として発売され,根治切除不能または転移性の腎細胞癌,神経内分泌腫瘍,手術不能/再発乳癌に対しては抗悪性腫瘍薬「アフィニトール」として承認された.最近はTSCの内服治療薬として承認された.皮膚病変にも有効であるが,副作用が多く,効果は外用薬より弱い.

【薬剤】ラパマイシンは分子式はC51H79NO13で分子量914.17の脂

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