診療支援
治療

ステロイド薬
Systemic steroid therapy
長谷川 稔
(福井大学教授)

【概説】ステロイドの全身投与の際は,その副作用をよく患者に理解してもらったうえで,疾患活動性のモニタリングと副作用の確認をしながら,注意深く減量していく.

【適応】ステロイドの全身投与の適応となるのは,皮膚疾患では薬疹,中毒疹,自己免疫性水疱症,円形脱毛症,急性蕁麻疹などである.その他の皮膚炎症性疾患ではステロイドの外用治療が主体となるが,重症例では全身投与が必要となることもある.また,膠原病や血管炎症候群に対して,皮膚科医がステロイドを全身投与することも少なくない.

【薬剤】作用時間の長さによって①短時間作用型:ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ),②中時間作用型:プレドニゾロン(プレドニン),メチルプレドニゾロン(メドロール),③長時間作用型:デキサメタゾン(デカドロン)やベタメタゾン(リンデロン)に分類される.皮膚科領域で使用するステロイドは,通常プレドニゾロンである.

【使用方法】

1.経口投与

 ステロイドの副作用である下垂体副腎系の抑制を軽減する目的では,生体内の副腎皮質ホルモンの日内変動に近くなるように,朝1回の内服,あるいは朝に偏った不均等分割投与が望ましい.しかし,特に中等量以上を投与する際には,血中濃度を十分に保ち,炎症を十分抑制するために分割等分投与がよく行われる.

 疾患,重症度により初期投与量は異なるが,疾患活動性の抑制に十分な投与量を考慮して設定する.大量投与ではプレドニゾロンとして体重換算で1mg/kg,中等量としては0.5mg/kgが目安となる.膠原病や血管炎では初期投与量を2~4週継続することが多いが,薬疹などでは通常は短期間で十分である.設定用量で十分な効果が得られない場合は,ステロイドパルスの追加や免疫抑制薬などの併用を考慮する.

 疾患活動性が十分抑制できれば減量を開始するが,膠原病や血管炎では1~2週に用量の10%以下,薬疹などではより速いペースで

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