診療支援
治療

抗ヘルペスウイルス薬
Anti-herpes viruses agents
渡辺 大輔
(愛知医科大学教授)

【概説】抗ヘルペスウイルス薬には核酸アナログ製剤と,ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬がある.全身療法として内服薬,注射薬が存在する.

【適応】単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)および水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)感染症が適応.各疾患での詳細な使用方法は各論を参照のこと.

【薬剤】

1.核酸アナログ製剤

①解説:核酸アナログ製剤にはアシクロビルおよびアシクロビルのプロドラッグであるバラシクロビル,ペンシクロビルのプロドラッグであるファムシクロビル,ビダラビンがある.アシクロビルは内服,注射薬として,バラシクロビルとファムシクロビルは内服薬として,またビダラビンは注射薬として使用される.②作用機序:アシクロビルおよびペンシクロビルは感染細胞においてウイルス由来のチミジンキナーゼにより一リン酸化され,さらに細胞内のキナーゼによって三リン酸化体に変更される.各三リン酸化体はウイルスDNAポリメラーゼの基質の1つであるデオキシグアノシン三リン酸化(dGTP)と競合的拮抗することによりウイルスDNAポリメラーゼ阻害作用を示すとともに,ウイルスDNA鎖伸長を阻害することで抗ウイルス作用を発揮する.ビダラビンは,核酸塩基アデニンのアナログであり,アシクロビルと同様ウイルス感染細胞内で三リン酸化されたあとDNA鎖内に取り込まれ,DNAポリメラーゼを阻害することで抗ウイルス作用を発揮する.③注意点:核酸アナログ製剤は腎排泄型の薬剤であり,またバラシクロビルおよびファムシクロビルはプロドラッグであり,高い血中濃度が得られる.重大な副作用として,精神神経症状や急性腎不全があるが,これらは薬物の過量投与により発症する.したがって,腎機能低下患者ではクレアチニンクリアランスに応じた投与量の適切な減量が必要である(表3-20)

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