【概説】①これまで皮膚癌の領域における薬物療法は後ろ向きの症例集積研究レベルのエビデンスしかない治療がほとんどだった.②近年,免疫チェックポイント阻害薬や低分子化合物の登場により悪性黒色腫やMerkel細胞癌の治療が大きく進歩した.
Ⅰ 免疫チェックポイント阻害薬
【概説】①免疫チェックポイント阻害薬はCTLA-4やPD-1を介した抑制機構を抑制することで,免疫を活性化させる.現在,本邦で皮膚癌領域において使用可能な免疫チェックポイント阻害薬は抗CTLA-4抗体のイピリムマブ,抗PD-1抗体のニボルマブとペムブロリズマブ,抗PD-L1抗体のアベルマブがある(表3-22)図.②免疫チェックポイント阻害薬の有事事象はこれまでの殺細胞性抗癌剤と異なり,免疫の過剰な活性化による自己免疫に起因することから免疫関連有害事象とよばれる.多くがステロイド投与によりコントロール可能であるが,重篤化した場合はイン