【概説】①標準的な西洋医学的治療に抵抗性の難治性皮膚疾患を主な対象として漢方治療が行われる.東洋医学(漢方医学)は中国の古典である黄帝内経,神農本草経,傷寒論,金匱要略などの記載をもとに,長年の経験に基づいて伝承,応用されている医学である.人体に加わる種々の因子(外因,内因)によって生体に生じた変化や恒常性の乱れを,陰陽・虚実・寒熱・表裏や気・血・水,五臓,六病位などの東洋医学独特の理論でとらえ(これを「証」という),その異常を是正するために最も適した生薬の組み合わせを選択して治療を行う.②西洋医学的な病名に対して漢方薬を処方するやり方(病名投与)では効果が少なく,東洋医学理論に基づいて個々の「証」を把握したうえで適切な漢方薬を選択して治療(随証治療)を行う必要がある.皮膚疾患に対して漢方治療を行う場合,主に気・血・水や寒熱の概念で生体の異常をとらえて,皮膚症状(皮疹)を改善する治療(標治
診療支援
治療
漢方治療
Kampo therapy
初出:今日の皮膚疾患治療指針 第5版
発行:2022年3月
収載:医学書院 医療情報サービス(2024年11月7日 掲-ID:hif_04593-05_a004b002z0013)
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