診療支援
治療

凍結療法
Cryotherapy
川瀬 正昭
(千葉愛友会記念病院部長)

【概説】凍結療法とは,病変部の局所に冷却材を当て急速な凍結,および解凍により細胞や組織を破壊し,さらに治療後の炎症作用などにより病変を治療する方法である.

【適応疾患】ウイルス性疣贅(尋常性疣贅,ミルメシア,扁平疣贅,尖圭コンジローマ,Bowen様丘疹症など),脂漏性角化症,軟性線維腫,老人性色素斑,日光角化症,白斑症,毛細血管拡張性肉芽腫,円形脱毛症,結節性痒疹,ケロイド,肥厚性瘢痕.皮膚悪性腫瘍は原則的には切除だが高齢者では行うことがある(Bowen病,基底細胞癌,有棘細胞癌,悪性黒色腫,転移性癌,Kaposi肉腫など).

【使用方法】冷却材として液体窒素(-196℃)が最も広く使用されているが,以前はドライアイス(-79℃)も使用されていた.液体窒素療法は,綿球法,スプレー法,鑷子法などで行う.

【液体窒素療法】①綿球法:液体窒素は外来では大きなコンテナ(図3-7a)に保存されていて,外来施行時,各ブースで魔法瓶(図3-7b)に小分けする.綿棒を戻して何回か施行する場合は数個重ねたハルンカップ(図3-7c)に取り分ける.その中に綿球を浸して冷却したのち病変部に接触させる.以前は綿棒を捨てずに同じものを繰り返し使用していたが,いぼに使用する際は,綿棒を媒介しほかの人への感染が完全に否定できないため,患者ごとに新しいものを使用する.使用する綿棒は,以前は自前で竹串に綿花を巻き付けて先をとがらせた母指大のものを作製していた(図3-8).自作綿棒は液体窒素の保持がよく,ただ触れるだけですぐに白く凍結する.市販されている綿棒は何種類か出ているが,筆者はN綿棒小,大(白十字株式会社)(図3-9)を使用している.使用法に関する注意としてN綿棒は液体窒素の保持が(特に大)が悪い.竹串と綿花のものと同じように使うと悪い点がある.柄の部分は水平を保つと液体窒素は垂れない.尾を先端より

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?