【概説】美容的理学療法は,いわゆる,しみ・しわ・たるみなどの皮膚老化に対する治療法で,保険外診療となるため,十分なインフォームド・コンセントが必要となる.また,混合診療にならないように注意を要する.
Ⅰ ケミカルピーリング
【概説】ケミカルピーリングは,皮膚に化学物質を塗布することで皮膚表面を剝脱させ,その後の皮膚再生を促す創傷治癒機転を利用した治療法である.主に痤瘡治療や光老化に対するskin rejuvenationを目的としたskin resurfacingである(図3-13)図.
【適応】痤瘡,日光(性)黒子,小じわなど(表3-29)図.
【薬剤】①α-ヒドロキシ酸(グリコール酸・乳酸),サリチル酸(エタノール基剤・マクロゴール基剤),トリクロロ酢酸(TCA)など.②なお,グリコール酸(3.6%以下の濃度は除く)やサリチル酸は薬機法では劇薬に指定されていることに留意する.
【注意点】グリコール酸は最も使用される試薬である.使用の際は試薬のpHを確認することが重要である.pHが低いほどピーリング剤の浸透性が高くなるため,水疱・痂皮の形成や炎症後色素沈着を残す可能性がある.また,アダパレン・過酸化ベンゾイル(BPO)など剝離作用を有する外用薬を使用している患者には注意が必要であり,治療前の問診は重要である.
【副作用・合併症】TCAやフェノールなど深達性の高い試薬を用いる場合は化学熱傷と同等な後処置が必要となる.
Ⅱ エレクトロポレーション
【概説】エレクトロポレーションは,皮膚に数十~数百Vの電流をマイクロ秒~ミリ秒単位で負荷させ,皮膚角層細胞間脂質中に可逆的な小孔を生じさせることにより皮膚透過促進を期待した治療である.
【適応】導入する薬剤の種類により,乾燥肌,しみなどに一定の効果が得られる.
【注意点】電気的条件設定が重要であり,高電圧(50V以上)の場合には施術時の痛みや刺激を伴う