病態
通常の接触皮膚炎に一次刺激性とアレルギー性のものがあるように,光接触皮膚炎にも2つの型があり,それぞれ光毒性接触皮膚炎,光アレルギー性接触皮膚炎とよばれている.光毒性接触皮膚炎とは化学物質に紫外線が当たり,それによって活性酸素が発生し組織・細胞傷害をもたらすものである.特異的免疫反応が起こったわけではなく,感作も必要としない.一方,光アレルギー性接触皮膚炎では,化学物質が紫外線のエネルギーにより化学構造を変化させハプテンとしての活性を有するようになり通常のアレルギー性接触皮膚炎と同様の免疫反応を惹起する.したがって,感作を必要としT細胞が媒介する.
【頻度】現在,光接触皮膚炎のほとんどがアレルギー性である.
【病因・発症機序】反応を起こす光の波長を作用波長とよぶが,本症の作用波長は紫外線,それも長波長紫外線(UVA)が主である.すなわち光感作物質にUVAが照射されると,その化学構造に何らかの変化が起こり,それが皮膚でハプテンを形成し接触皮膚炎を引き起こす.したがって,通常のアレルギー性接触皮膚炎と同様に,感作相では樹状細胞の活性化と所属リンパ節への遊走,所属リンパ節での抗原特異的T細胞活性化,惹起相におけるUVA刺激により形成されたハプテンと反応した感作T細胞によるサイトカイン,ケモカイン産生,さらには表皮細胞によるヒアルロン酸産生などにより炎症が惹起される.
診断
【臨床症状からの診断】日焼けを起こすほどの光照射を受けていないにもかかわらず,露光部,そのなかでも何らかの化学物質に接触した部位に限局性に湿疹病変を認めるのが光アレルギー性接触皮膚炎の特徴である(図4-4)図.アレルギー性接触皮膚炎と同様に,病変は急性期には痒みを伴う紅斑,漿液性丘疹,丘疹,水疱,痂皮,鱗屑などから構成され,皮膚炎が長時間持続すると色素沈着,苔癬化などの慢性湿疹の症状を呈する.
【問診で聞くべきこと
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