診療支援
治療

内科疾患に伴う紫斑
Purpura caused by systemic diseases
谷川 瑛子
(慶應義塾大学准教授)

病態

 紫斑はさまざまな内科疾患の初発症状として現れ,その臨床像,分布と病理組織学的所見は,血液検査とともに診断するうえで重要な手がかりとなる.紫斑が生じる原因は大きく血管炎,血液疾患,血漿蛋白異常とその他の疾患に伴うものに分けられる.血管炎による代表的な疾患にIgA血管炎,血液疾患では血小板減少性紫斑病,異常な血漿蛋白質による紫斑は高γグロブリン血症性紫斑,クリオグロブリン血症性紫斑,全身性アミロイドーシスによる紫斑などが含まれる.感染症によって生じる紫斑には皮膚点状出血またはJaneway病変が知られている.紫斑をみたら基礎疾患の検索が重要である.

【病因・発症機序】血管炎では免疫複合体の血管壁への沈着によるアレルギー反応,その他は血中にさまざまな原因によって産生された異常蛋白により血液の粘稠度が亢進して血行障害が生じた結果,血小板,凝固系にも影響をもたらし,血管壁に直接障害をきたす.異常蛋白産生の結果,免疫学的機序により2次的に血管炎の変化をも生じることも知られている.全身性アミロイドーシスはアミロイドが全身臓器と組織に沈着することにより生じる原因不明な病態である.

【臨床症状】①高γグロブリン血症性紫斑:血液の粘稠度上昇によって下肢中心に点状から小豆大までの紫斑が多発する.年余にわたり繰り返し色素沈着と混在してみられる.突発性と,基礎疾患にSjögren症候群を伴う続発性のものがある(図7-1)②クリオグロブリン血症性紫斑:寒冷により凝集する血中クリオグロブリンの異常増加により,臨床的に紫斑,チアノーゼ,血行障害,潰瘍などを生じる(図7-2)③原発性全身性アミロイドーシス:全身諸臓器にアミロイド蛋白が沈着する代謝性疾患である.アミロイドの沈着により血管が脆弱化して出血しやすく,軽微な外傷で紫斑をきたす.点状または斑状の紫斑が多発し“アミロイド紫斑”とよばれてい

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