診療支援
治療

変動性進行性紅斑角皮症
Erythrokeratodermia variabilis et progressiva
秋山 真志
(名古屋大学教授)

病態

 紅斑角皮症には,変動性紅斑角皮症と進行性対側性紅斑角皮症の2つの異なる病型があると考えられていたが,それらが同一疾患の臨床的バリエーションであることがわかり,変動性進行性紅斑角皮症に統一された.なお,進行性対側性紅斑角皮症と診断されていた症例のうち,ロリクリンの変異による症例は,ロリクリン角皮症に含まれる.

【頻度】まれな疾患であり,正確な頻度は不明である.発症時期は,一般的に出生時から幼小児期であるが,学童期以降の発症や,成人発症例もみられる.

【病因・発症機序】病因は,gap junctionの構成蛋白であるconnexin 31,30.3,43をそれぞれコードする遺伝子GJB3GJB4GJA1の変異である.常染色体優性遺伝性疾患であるが,ごくまれにGJB3の遺伝子変異をホモで有する常染色体劣性遺伝性の症例もみられる.connexinの変異によるgap junctionの機能障害は,表皮細胞の分化・増殖異常の原因となる.

【臨床症状】皮疹は,刻々と形を変え数日以内に消褪する境界明瞭な地図状の紅斑と,形をあまり変えない暗赤色から褐色の不規則な形状の鱗屑を伴う角化性局面の2種類からなる.ほぼ半数の症例で掌蹠にも過角化が認められる.臨床症状は,家系間および家系内でも症例ごとに大きな差が見られる.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】表皮融解性魚鱗癬の環状型,KID症候群,ロリクリン角皮症など.

【問診で聞くべきこと】発症時期,皮疹の分布と移動性の有無,家族歴などを問診する.皮膚以外の症状の有無は,鑑別診断に重要.

【臨床症状からの診断】幼小児期からみられる対称性に分布する角化性局面と,固定または移動性の紅斑,家族歴から診断する.

【必要な検査とその所見】遺伝子GJB3GJB4GJA1のいずれかに病因変異を同定することで,確定診断される.


治療

 角質溶解剤含有外用薬が用いられる.少量

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