病態
皮膚エリテマトーデスのなかで最も頻度の多い皮疹型は,円板状エリテマトーデス(DLE:discoid lupus erythematosus)である.皮疹は,顔面,頭部,耳介部に好発する.境界明瞭な紅斑局面で,鱗屑と毛孔の開大を伴う.病変が広範囲であり,頸部より尾側に拡大する場合は全身性エリテマトーデスへ移行する例が多いため注意を要する.DLEでは,口唇が侵されることもある.口唇の鱗屑,潰瘍,色素沈着がみられ,口唇癌(図12-3)図の発症母地となりうるので注意が必要である.頭皮に病変が存在すると,真皮内の炎症が強いため,毛根が破壊され不可逆的な脱毛斑となりうる(図12-4)図.
診断
【皮膚生検】DLEではSCLEと同様に著明な過角化,毛孔角栓形成,表皮萎縮,表皮基底層の液状変性がみられる.DLEにおける蛍光抗体直接法では表皮真皮接合部に免疫グロブリンや補体の線状の沈着がみられる.全身性エリテマトーデスでは,皮疹部と無疹部ともに免疫グロブリンや補体の沈着がみられるが,DLEでは皮疹部のみであり,鑑別点となる.
治療
皮疹の範囲が小さい場合や顔面に限局する場合は,ステロイド軟膏やタクロリムス軟膏外用治療で開始する.
a.中等症以上の場合
皮疹の範囲が広い場合や体幹・四肢に広範囲に皮疹が分布し,発熱・関節症状などの全身症状を伴う場合は,全身性エリテマトーデスへの移行に注意し,各種内臓合併症の検索を行いつつ,内服薬による全身投与を考慮する.
また,顔面や頭皮の皮疹の炎症が高度であり,瘢痕を残すおそれがある場合には,美容的側面からも少量~中等量の内服ステロイドやヒドロキシクロロキンを考慮するべきであろう.
Px処方例 下記を併用する,もしくはいずれかを単剤で用いる.
1)プレドニゾロン薬錠 1日10~20mg
2)プラケニル薬錠(200mg) 1回200~400mg 1日1回(理想体重に応じ
関連リンク
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