病態
寒冷刺激や精神的な緊張により手指の色が発作性に変化する現象で,典型的には虚血(白)→チアノーゼ(紫)→血流の増加(赤)と三相性に変化するが,白→紫などの二相性のこともある(図12-22)図.持続時間は15分以内~1時間以上など,個人差がある.血管のれん縮によるものと考えられ,痛みやしびれ感を伴うことが多い.診察中に実際にRaynaud症状をみることはまれであり,問診より判断する.
【頻度】人口の2~3%.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】Raynaud症状は,基礎疾患のない原発性(Raynaud病)と基礎疾患(主に膠原病)を伴う2次性に分類される.膠原病,特に全身性強皮症では出現頻度が高く(90%以上),初発症状として最も多い.原発性と2次性の鑑別は予後を判定するうえできわめて重要である.
【問診で聞くべきこと】喫煙歴,職業歴(振動工具の使用を伴うか),膠原病の症状の有無など.
【臨床症状からの診断】①手指のびまん性潮紅:診察の際にRaynaud症状が出現していることはまれであるが,Raynaud症状がある患者ではRaynaud症状が出現していないときでも手指にびまん性潮紅を伴うことが多い.よってRaynaud症状と考えられる訴えがあれば,客観的な指標の1つとして手指の潮紅の有無を確認する.②爪上皮出血点:爪上皮出血点は2次性Raynaud症状(全身性強皮症,混合性結合組織病,皮膚筋炎など)では高頻度でみられるため,原発性との鑑別で重要な客観的指標となる.特に同時に2本以上の指に爪上皮出血点が認められた場合は,2次性の可能性が高い(特異度98%).また,キャピラリースコープ(デルマトスコープでも代用可能)を用いた後爪郭部毛細血管拡張も2次性で高率に確認され,重要な客観的指標である.
【必要な検査とその所見】抗核抗体や各種自己抗体(抗セントロメア抗体,抗トポイソメラーゼ抗体,抗R
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