病態
若年~中年の男性に好発する四肢の中小動脈を侵す原因不明の炎症性血栓性の閉塞性疾患である.遊走性静脈炎が併発することもある.
【頻度】青壮年(20~40歳)の男性に好発する(女性は2~10%).アジアに多く,欧米では比較的少ない.近年減少しつつあるが,患者の高齢化が指摘されている.
【病因・発症機序】病因は不明であるが,凝固系およびそれらの関連蛋白質と血管内皮細胞との反応により惹起されると考えられている.発症の90%以上に喫煙歴があることから,喫煙が本疾患の病態に関与していると考えられている.血中に免疫複合体や血管に対する自己抗体が証明されることもあり,自己免疫反応が関与している可能性もある.
【臨床症状】症状は四肢の冷感,チアノーゼ,しびれ,安静時疼痛であり,潰瘍を形成する.足部や下腿に生じる反復性の遊走性静脈炎は20~40%でみられる.Raynaud症状や下肢筋肉の虚血により間欠性跛行がみられることもある.指趾の潰瘍や壊疽は,早期からみられることもあり,肉芽形成不良のため,難治で疼痛も強い(図13-8)図.陳旧例では,皮下静脈に沿って褐色色素沈着や柵状硬結として触れる.罹患部位は前後脛骨動脈が多く,膝窩動脈や大腿動脈にもみられる.また,約20%の症例で上肢病変を有している.多臓器血管病変はまれである.
診断
【鑑別疾患】閉塞性動脈硬化症との鑑別は特に重要であるが,閉塞性動脈硬化症では,Buerger病でみられるようなRaynaud症状,遊走性静脈炎,上肢病変はまれであり,侵される血管は主幹動脈である.そのほか,全身性強皮症や全身性エリテマトーデスをはじめとする膠原病,糖尿病などによる潰瘍なども鑑別する必要がある.そのほか,外傷性動脈血栓症,膝窩動脈捕捉症候群,血管Behçetなどが鑑別となる.
【検査】特異的な血液検査はない.血管造影検査にて,分節性,滑らかな途絶像,先細り,コ
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