診療支援
治療

膠様稗粒腫
Colloid milium
清島 真理子
(朝日大学病院教授/岐阜大学名誉教授)

病態

 真皮上から中層に境界明瞭な塊状の無構造物質がみられる疾患.中高年に好発する成人型,結節型,色素性と思春期前に発症する若年型の4型がある.

【病因・発症機序】成人型の病因は日光により変性した弾力線維あるいは膠原線維と考えられ,電顕で無構造物のなかに波状,分枝状線維が観察される.色素性ではハイドロキノン長期外用部位の発症例が報告されている.若年型はまれで,しばしば家族性に発症する.病理所見で,表皮内にもコロイド物質がみられ,抗ケラチン抗体で染色されること,電顕所見でトノフィラメントの変性物がみられることから変性ケラチノサイト由来と考えられる.

【臨床症状】黄色から褐色の半透明で,光沢のある,1~2mmの小丘疹が多発し,集簇する.結節型では5cmまでの結節を形成する.自覚症状はない.成人型では露光部,特に眼周囲に多く,耳介,口囲,下顎,頰,頸部,手背にもみられる.一方,若年型では顔面に限局し,結膜,歯肉にも出現する.結節型は非露光部にも生じる.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】汗管腫,稗粒腫,アミロイド苔癬,丘疹性ムチン沈着症,毛包上皮腫,顔面播種状粟粒性狼瘡,酒皶.

【診断のポイント】黄色調半透明の小丘疹の集簇という臨床症状から診断は容易であるが,病理組織で真皮上から中層の好酸性無構造物質を証明することで確定診断される.通常ジアスターゼ抵抗性PAS染色陽性,アルシアン青染色陰性,コンゴ赤染色陰性.本症では電顕で分枝しないアミロイド線維構造を欠く点でアミロイド苔癬と鑑別される.


治療

 炭酸ガスレーザー治療,高周波ラジオ波治療,液体窒素凍結療法,レチノイド(トレチノイン)外用が有効な例もある.自然治癒例もある.

□患者説明のポイント‍ 自覚症状のない生命予後良好な疾患で,自然治癒の可能性もある.整容的に問題であれば上記治療を行う.日光による発症の可能性を考慮し,遮光を指導する.

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