診療支援
治療

先天性アミノ酸代謝異常症
Congenital amino acid metabolic disorders
管 析
(西日暮里駅前すが皮膚科院長)

病態

 アミノ酸代謝異常症は,アミノ酸代謝にかかわる酵素の異常を原因として毒性物質の蓄積あるいは必要なアミノ酸の欠乏を引き起こすことで種々の臓器障害(特に脳,肝臓,腎臓)をきたす疾患である.新生児の踵から採取した微量血液検体を用いたマススクリーニングではタンデムマス法の開発により,現在では20疾患以上の代謝異常症を一度に検査することができる.アミノ酸代謝異常症では,フェニルケトン尿症,メープルシロップ尿症,ホモシスチン尿症,シトルリン血症1型,アルギニノコハク酸尿症の5つが対象疾患に含まれている.皮膚症状を呈する代表的なものはフェニルケトン尿症,高チロシン血症Ⅱ型,Hartnup病が挙げられる.

【病因・発症機序】①フェニルケトン尿症:必須アミノ酸であるフェニルアラニンをチロシンへ変換する酵素であるフェニルアラニン水酸化酵素の先天的異常による.血中にフェニルアラニンが蓄積されることで,知能障害やけいれんなどの中枢神経症状やメラニン生成能低下による皮膚症状を呈する.遺伝形式は常染色体劣性.②高チロシン血症Ⅱ型(Richner-Hanhart症候群):肝臓のチロシンアミノトランスフェラーゼ活性の欠損により血中チロシン濃度が上昇する常染色体劣性遺伝性疾患.③Hartnup病:腎近位尿細管と小腸での中性アミノ酸吸収障害により,発育障害,精神症状,ペラグラ様の皮膚症状をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である.上皮細胞の管腔側に存在する中性アミノ酸トランスポーターの遺伝子異常と考えられている.

【臨床症状】①フェニルケトン尿症:皮膚の色は出生時から白っぽく,頭髪は赤毛ないし褐色調で虹彩の色も薄い.また,光線過敏症があり,湿疹も生じやすい.知能障害やけいれんなどの中枢神経障害も伴う.②高チロシン血症Ⅱ型(Richner-Hanhart症候群):手掌,足底に紅斑を伴う有痛性角化性局面を生じる.皮膚症

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?