診療支援
治療

スフィンゴリピドーシス
Sphingolipidosis
管 析
(西日暮里駅前すが皮膚科院長)

病態

 スフィンゴリピドーシスとは,リソソーム酵素の先天的欠損によりスフィンゴ脂質がリソソーム内に蓄積する疾患群をいう.セラミド,セレブロシド,ガングリオシドおよびスフィンゴミエリンがスフィンゴ脂質に属する.スフィンゴ脂質は主に中枢神経,肝臓,脾臓,腎臓などに蓄積するが,皮膚の場合もある.特に皮膚症状が問題になるFabry病(びまん性被角血管腫),Gaucher病(びまん性色素沈着および頰部紅斑),Niemann-Pick病(黄褐色調皮膚)について以下に述べる.

【病因・発症機序】①Fabry病:α-ガラクトシダーゼAの欠損によるセラミドトリヘキソシドの全身沈着症状を呈するX染色体劣性遺伝性疾患.男性は症状が重いが,女性では無症状から重症までさまざまである.②Gaucher病:β-グルコセレブロシダーゼ欠損により,グルコセレブロシドが肝臓,脾臓,リンパ節など網内系細胞に蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患である.乳児型,若年型,成人型の3型に分類される.③Niemann-Pick病:スフィンゴミエリナーゼの欠損により,スフィンゴミエリンが中枢神経,肝臓,脾臓,リンパ組織に蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患であり,男女差はない.A~Fまでの6型に分類される.

【臨床症状】①Fabry病:幼少時より四肢疼痛発作,低汗症がみられ,思春期以降に腎,循環器,神経障害をきたす.本症の約90%で渦巻状角膜混濁がみられる.皮膚では幼少期から大腿,陰囊,四肢に数mm大の暗赤色血管拡張性の丘疹(被角血管腫)が多発する.②Gaucher病:肝脾腫を伴うことが多く,骨髄系が障害されると貧血や骨痛,骨折を生じる.皮膚では紫斑やびまん性色素沈着がみられる.③Niemann-Pick病:肝脾腫,精神遅滞,成長障害が特徴である.タイプA(古典的小児型)は最重症型であり,スフィンゴミエリナーゼ活性が完全に消失するか5%以下

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