病態
ポルフィリン症は,ヘム代謝系酵素異常による中間代謝産物の蓄積により生じる.皮膚症状を主症状とする骨髄性プロトポルフィリン症(EPP),先天性骨髄性ポルフィリン症(CEP),および晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)と,皮膚症状と神経症状の両者を伴う異型ポルフィリン症(VP)と遺伝性コプロポルフィリン症(HCP),および肝赤芽球性ポルフィリン症(HEP),さらに皮膚症状を有しない急性間欠性ポルフィリン症(AIP)とALA脱水酵素欠乏性ポルフィリン症がある.光線過敏症を呈するX連鎖性プロトポルフィリン症を含めると,全部で9病型がある.皮膚症状を伴う主な病型について以下に述べる.
【病因・発症機序】EPPの遺伝形式は常染色体優性遺伝で,フェロケラーゼの活性低下による.CEPの遺伝形式は常染色体劣性遺伝で,ウロポルフィリノーゲンⅢシンターゼの活性低下による.PCTは,ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の活性低下による.長期間の過剰飲酒,肝炎ウイルスやHIV感染,女性ホルモンなどの薬物,透析などにより誘発される.VPの遺伝形式は常染色体優性遺伝で,プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼの活性低下による.発症誘発因子として,妊娠,飲酒,手術侵襲,飢餓,薬剤などが知られる.
【臨床症状】EPPは幼少児期に発症する.紅斑や腫脹などの急性皮膚症状が強いのが特徴である.水疱を形成する場合もある.経過とともに小瘢痕や色素沈着をきたす.加齢とともに肝機能障害の合併率が高くなり,肝硬変,肝不全に進行すると予後が悪い.CEPでは,幼少時期より激しい光線過敏症が生じ,色素沈着や瘢痕形成に加えて,眉毛,睫毛の脱落,さらには顔面変形や,肢端の短縮・脱落をきたすこともある.特徴的なぶどう酒様の赤色尿を認める.皮膚症状以外の所見として,赤色歯牙,肝腫,脾腫,溶血性貧血などを伴うことがある.予後は,肝障害の程度による
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