診療支援
治療

Ehlers-Danlos症候群
Ehlers-Danlos syndrome:EDS
河野 通浩
(秋田大学教授)

病態

 先天性の結合組織疾患,特に膠原線維の異常による.そのため全身の支持組織が脆弱になり,皮膚,関節,血管が主に冒される.皮膚がよく伸び,傷や紫斑が出現し,血管の破裂を生じ,関節の可動性が異常に高くなる.内臓の結合組織が弱くなり,子宮破裂や眼症状がみられるときもある.頻度は約5,000人に1人である.症状の特徴により分類され,原因遺伝子も明らかになってきている(表16-1)


診断

【分類】2017年にInternational Consortiumによる新しい分類も発表されているが,本邦の難病申請において,臨床症状を中心とした6つの分類(Villefranche分類,1997)とその後に認識された「D4ST1欠損に基づくEDS」を合わせた7型に分類しており,国内ではこの分類と診断基準が一般的である(表16-1).この診断基準では生化学的検査や遺伝子検査も示されており,古典型および血管型の遺伝子診断は保険収載されたが,実際には限られた施設でのみ施行可能である.①古典型:軟らかく,よく伸びる皮膚を認め,肘や膝,額などに薄く広がった瘢痕がみられる.関節の脱臼がみられる.裂孔ヘルニアや脱肛,手術後にヘルニアを生じることがある.出産時は前期破水・早産がみられる.②関節型(関節可動亢進型):全身の関節過動性が特徴で,皮膚はベルベット様と表現される軟らかさがあるが,皮膚の脆弱性や瘢痕,血管脆弱性や内臓脆弱性は目立たない.運動が多くなる学童期に脱臼を繰り返し,気づかれることが多い.全身の痛みが強い.胃炎や過敏性腸炎などの胃腸症状や,起立したときのめまいや失神がみられることがある.③血管型:動脈破裂,腸管破裂,妊娠中の子宮破裂に注意が必要な高リスクの型である.最初に重大な動脈もしくは消化管の合併症を生じる平均年齢は23歳,死亡年齢の中央値は48歳である.血管が透き通るような薄い皮膚と皮下出

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