Ⅰ Goltz症候群
病態
中胚葉および外胚葉系組織の広範な異常を呈する非常にまれな先天性疾患.出生時から線状~帯状のわずかに陥凹した萎縮性の皮膚変化を呈し,時に発赤,水疱,痂皮形成を認める.皮膚病変は四肢や顔面,時に体幹に認められる.四肢の奇形,爪,毛髪などの形成不全および頭蓋の変形,歯牙の先天欠如や形成不全,眼の先天異常(小眼球症,無眼球症,角膜混濁など)を合併する.90%以上が女児に発現する.
【病因・発症機序】PORCN遺伝子の突然変異または重複や欠失によって発症する,X連鎖顕性(優性)遺伝性疾患.報告例の約95%は孤発例であるが,家族例も報告されている.
診断
複数の皮膚症状,あるいは特徴的な四肢の奇形に加えて1つの典型的な皮膚症状があれば本疾患の可能性を検討する.PORCN遺伝子の遺伝子検査が確定診断に有用である.
【鑑別診断で想起すべき疾患】Rothmund-Thomson症候群,外胚葉形成不全症,線状皮膚欠損を伴う小眼球症,色素失調症.
治療
根本的な治療法はない.四肢の奇形に対する補助器具使用や整形外科的治療を考慮する.
Ⅱ 外胚葉形成不全症
病態
外胚葉系の各組織に何らかの形成異常を有する100近い遺伝性疾患の総称.毛髪,汗腺,爪甲,歯牙などの異常を呈する.異常を呈する組織の組み合わせにより多数の病名が報告されている.
【病因・発症機序】原因となっている遺伝子や発生経路がこれまでに80以上同定されている.
【臨床症状】外胚葉形成不全症の各タイプにそれぞれ独自の臨床症状の組み合わせがある.一般的に,以下のような症状の1つ以上がみられる.歯牙の異常(数や形状),毛髪の異常(疎毛,捻転毛など),汗腺の異常(乏汗,無汗),爪形成不全,口唇裂および口蓋裂,四肢の形成異常(合指症など),皮膚の異常(斑状の低形成,色素異常など),眼の異常(小眼球症など),泌尿器系の異常(腎形成不全,低
関連リンク
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