診療支援
治療

SJSとTEN
Stevens-Johnson syndrome and Toxic epidermal necrolysis
渡辺 秀晃
(昭和大学教授)

病態

 皮膚粘膜眼症候群(SJS)/中毒性表皮壊死症(TEN)は,薬剤の全身投与により,高熱や全身倦怠感などの症状を伴って,口唇・口腔内・眼・外陰部などを含む全身に紅斑・びらん・水疱が多発し,表皮の壊死性障害を生じる疾患である.原因として薬剤のほかに,マイコプラズマ感染やヘルペスウイルスなどのウイルス感染症,また原因不明のSJS/TENも本邦・欧米から報告されている.SJS/TENは同一のスペクトラム上にある疾患で,SJSはびらん・水疱が体表面積の10%未満,TENでは10%以上と定義される.

【頻度】SJS/TENの発症頻度は,年間人口100万人あたり1~6人とされる.最新(2016~2018年の3年間)の本邦の全国調査では,1年間の期間有病率はSJSが2.5人/100万人,TENが1人/100万人であった.

【病因・発症機序】ある一定のhuman leukocyte antigen(HLA)アレルを有する人において,活性化されたT細胞あるいはNK細胞から産生される因子が表皮を傷害することにより生じる.その機序としては,これらの細胞から産生される可溶性FasLとケラチノサイトのFasとの結合,グラニュライシン,HMGB1(high mobility group box-1 protein)やその他の細胞傷害因子による表皮傷害が考えられる.その他の機序として,併発する感染症による制御性T細胞の機能低下,炎症性サイトカインの産生亢進によるT細胞の活性化亢進などが推測されている.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】まずは厚労科研「重症多形滲出性紅斑に関する調査研究」によるSJS診断基準にある通り,多形紅斑(重症型を含む)を除外する必要がある.ほかに腫瘍随伴性天疱瘡や尋常性天疱瘡を含む自己免疫性水疱症,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS:staphylococcal scalded s

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