病態
出生時あるいは生後数か月に気づかれる不完全脱色素斑であり,質感や感覚に異常は認めない.その形状は生涯にわたって変化しない.
【頻度】頻度不明であり,家族内発症はみられない.
【病因・発症機序】原因不明.脱色素斑の分布がBlaschko線に沿うことが多いことから,モザイク説が報告されている.
【臨床症状】体幹や顔面に多いが,ほぼ全身のどこにでも発症する帯状,列序性に配列する不完全脱色素斑であり,大きさはさまざまである(図20-3)図.なかには渦巻き状を呈することもある.脱色素斑の境界は明瞭で,鋸歯状であることが多い.脱色素斑周囲の色素増強はない.分布はほとんど片側性である.自覚症状はない.露光部の脱色素斑部は,春~夏にかけて周囲の正常部に比べて程度は弱いながらもびまん性・均一に日焼けして色素増強する.
【特に注意すべき臨床症状】異同が問題となっているhypomelanosis of Itoにみられるような合併症は通常はない.
診断
臨床症状と経過から診断する.
【鑑別疾患で想起すべき疾患】
1.hypomelanosis of Ito
出生時より両側性に渦巻き状,あるいはシマウマ模様に不完全脱色素斑を呈し,色々な合併症を伴う.
2.結節性硬化症
原因遺伝子TSC1,TSC2のいずれかの変異により発症する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患であるが,散発例もある.体幹に葉状白斑といわれる不完全脱色素斑が通常は3個以上みられる.そのほかに神経症状や顔面のangiofibroma,胎生期から乳児期に出現する心臓の横紋筋腫などの内臓病変を合併することがある.
3.まだら症
原因遺伝子c-KITの病的変異によって発症する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患.胎生期の色素芽細胞遊走障害により,出生時より体幹四肢に左右対称性に完全脱色素斑がみられる.白斑部の皮膚には色素細胞はみられない.通常は,生涯にわたって白斑
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