Ⅰ 扁平母斑
病態
【頻度】単発性も含めると,発症頻度は10~20%とされている.
【病因・発症機序】遺伝性はない.幼児期に出現することが多いため後天性と考えられるが,出生時にすでに存在する症例もある.
【臨床症状】数mm~10cmまでの色素斑で,色調は均一の淡褐色,形状は類円形から不整形で境界明瞭である(図21-9)図.多くは幼児期に病変が明らかになる.好発部位は体幹や四肢で,通常は単発である.神経線維腫症1型(NF1:neurofibromatosis 1)やAlbright症候群に伴う色素斑はカフェオレ斑とよぶが,本質的に違いはない.斑上に黒褐色の小色素斑や丘疹が散在するものを点状集簇性母斑(speckled lentiginous nevus)というが,欧米ではこれを扁平母斑とよび,本邦との認識に食い違いがある.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】NF1,Albright症候群,Legius症候群.
【臨床症状からの診断】1.5cm以上の皮疹が6個以上ある場合は,NF1を疑う(six spots criterion).
【必要な検査とその所見】①病理組織学的検査:主な組織学的所見は基底層のメラニン色素の増加だが,メラノサイトも増加しうる.②ダーモスコピー:表皮基底層にメラニン色素が増加する病態であるので,ダーモスコピーでは,びまん性の褐色色素沈着を認める.
治療
切除,レーザー治療,凍結療法,皮膚剝削術,ケミカルピーリング,カバーマークなどを行う.
【予後と経過】生涯変化することはない.
□患者説明のポイント いずれの治療も十分に満足が得られるとは言いがたく,治療抵抗性であることを十分に説明する.
Ⅱ Becker母斑
病態
【病因・発症機序】遺伝性はないとされるが家系内発症の報告もある.思春期に多く発症し,多毛を伴うことから男性ホルモンの関与が考えられている.組織学的に毛包の発達や平滑筋増生
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